銘茶(太平猴魁)のふる里を訪ねて(その一)

 5月のゴールデンウイークに、念願の中国十大銘茶の1つ「太平猴魁」の原産地である猴坑を訪ねて来ました。
 昨年、黄山周辺のキーマン紅茶への旅をしていた時に、何度か「太平猴魁」に出会いましたが、やはり原産地へ行ってみたいという気持ちがこの1年強くなってきました。
 「太平猴魁」の原産地は、安徽省黄山市黄山区新明郷三合村というところで、中国政府の行政指定村であり、かつ原産地認定の公式認定がなされ、「太平猴魁」は商品ブランドとして保護されています。
 今回訪ねたのは、原産地の三合村の中心部と原産地中の原産地とも言える「猴坑」という村民組(自然村)でした。
 5月4日の早朝、上海から「申・蘇・浙・皖」の四省(上海の別称・江蘇省・浙江省・安徽省)に跨る高速に乗り、450キロを約6時間で走り黄山市の太平湖にたどり着きました。


ホテルから眺めた太平湖             


遠くから見た宿泊ホテル

広大な太平湖を望むホテルに宿をとったのですが、その晩、ホテルの従業員数人に三合村への道路事情や村のことなどを尋ねましたら「へえーっ!」とか「道が険しいヨ!」「船に乗り継がねばならないヨ!」などと言われました。
 ということがあって、5月5日は、少々不安を抱えながら地図を頼りに80キロ先の三合村に向かって出発したのでした。
 広い道で1時間ほど走り、三合村専用の、川沿いの細い分岐路に着きました。その細い道に入ってさらに20分ほど走行して、やがて船着場が見えてきました。


三合村への専用道路             


沿路の風景

 途中、崖崩れで不通の道路を迂回したりしてやっとたどり着いた船着場に内心ホッとしました。


三合村行きの船着場             


綺麗な水面

 船の出発時刻が長く、とても待ってはいられないということになり、個人経営の船主に交渉して船を出してもらうことになりました。
 ジーゼルエンジン付きの船は川幅数十メートルの川面を快適に走り、そして山あいの峡谷の景色はすばらしく観光気分に酔いしれた船旅でした。


川の中を船が走行した時             


船から前方を眺めた風景

 やがて四方を山に囲まれている三合村の中心部に到着しました。静かな川の流れ、落ち着いた村の雰囲気は都会の喧騒からは遮断された独特の懐かしさを体感しました。


三合村がかすかに見えました             


三合村の船着場

 船主の家に招待され奥さんの心づくしの「ご当地料理」(中華なべで炊いたご飯、自家製野菜料理の数々、その他「山珍湖味」など)が卓上に沢山並べられ、どれも美味しくいただき一同大満足でした。


遠くからみた船主の家             


安徽でよく見かけた「徽州建築」

 食事後船主が段取りしてくださった軽型ワゴン車でいよいよ「猴坑」に向かって出発しました。
 猴坑への山道は、最近舗装されたばかりらしく、路面の状態は悪くはないのですが道に慣れた運転手は、ハイスピードで時々警察用のサイレンを流しながら細い山道を右に左にカーブを切って走って行くのです。
 対向車が来たらどうなるのでしょうか?崖っぷちをカーブする時の怖さは寿命の縮む思いでした。後ろの座席の人たちは急カーブの時、後輪がちゃんと道路に乗っていないのではないか?
 ひそひそばなしも運転手には聞こえない様子。乗客全員がドキドキハラハラしながら、やっと猴坑にたどり着いた時は安堵感に胸をなでおろしながら、よろよろと車を降りた次第でした。


「猴坑」入り口の建物(お茶工場)             


山の斜面に立てられた村の風景

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