—- 2011年7月25日開催
前回、オールド上海でお世話になった呉先生が別れ際に、「明日から中国全土あちこち回って、来週また上海に来るのよ。上海来る理由って言うのが、茶芸コンテストがあってそこで審査員として招待されているの。」とおっしゃるので、私達3人がコンテストについてあれこれ質問していたら、呉先生「あなた達も来る?」っとおっしゃって下さって、私達即「是非❤行きたいです!」と返答。呉先生「じゃあ、どうせ来るなら、茶芸やったら?」、私達「えええええ~~~?」、大江先生「あらいいじゃない、みんな資格持ってるんだし、やってみたら?」、呉先生「じゃあ、そういうことで。会場で待ってるわねー。」という流れで、呉先生の国家レベルの茶芸を見せて頂いたばかりなのに、恐れ多くも茶芸をやらせて頂くことになってしまいました!
さて、ここからです。翌日、心也清に行って茶席の打ち合わせ。大江先生は自由にやらせてくださる方なので、自由過ぎてどうしたらいいかちょっと困る私達。とりあえず、原案を考えて、先生にアドバイスを頂きながら茶席を組み立てることにしました。さて、何茶の茶芸にしましょうか?数年前生徒さんが展覧会で茶芸をされた時は「台湾工夫茶」だったそうなので、今回は「闽北烏龍茶茶芸」にすることになりました。そこから茶器の組み合わせを考えます。「闽北烏龍茶茶芸」とは闽北=武夷山=岩茶の故郷の茶芸ということです。女性らしく華やかな台湾工夫茶に比べて、闽北烏龍茶茶芸は仙人がいると言われる武夷山のように落ち着いた雰囲気があります。
よって、紫砂で作った丸い茶盤、紫砂壷、そして紫砂に合うように白地に藍色の図案が入っている杯子・茶缶を用意しました。次に用意した茶具に合うように、テーブルセッティングを考えていきます。テーブルクロスやフラワーアレンジメントをどうするか、先生にアドバイスを頂きながら、「こうしたらどうかな?」「こういうのは?」といろいろ試しながら、「これがいいね」、「これは思ったほどの効果がないね」などと言いながら自分達の茶席を設計していく過程はとても面白いです。自分にはない他の方のアイディアを勉強することができますし、新しい発見が沢山あります。
茶席の構想が決まったら、あとは3人で茶芸を練習。一人で滞りなく茶芸をするだけでもそれなりの努力が必要なのに、その上みんなでタイミングを揃えるとなると、これまた細かい打ち合わせが必要になるのです。本番までの数日、何度も練習し、試行錯誤を繰り返し、そして先生にチェックして頂きながら、見栄えのする茶芸になんとか仕上げることができました。
茶席を明るく華やかにしてくれるお花は、当日先生と一緒に花市場に買いに行きました。これも中国の便利な所ですね。それぞれの地区に花市場があって、安く新鮮なお花が手に入ります。茶席のコーディネートに合うお花で、かつ季節感も出したい。ということで、今回は4つのフラワーアレンジメントうち、二つを同じ、残りの二つは違うテイストで、計3種類を作ることにしました。選ばれた花材はアジサイと蓮の花とひまわり。ひまわり以外はピンクっぽいテイストで。フラワーアレンジメントをいつもされている大江先生の花材選びはとても勉強になります。その後、大至急心也清に戻って、先生のフラワーアレンジメント作りがはじまります。先生は既に頭の中にある程度の構想がおありのようで、あっという間にどんどん素敵なお花が出来上がって行きます。
前回と同様、必要な道具や音響設備は自分達で用意していかないといけません。大きなカバンに沢山の荷物を詰めて出発。
会場は上海の中心地にあるビルの45階「上海星公館」という高級クラブの中。まるでホテルのようなサービスです。会場に入るとステージがあり、脇にはバイキング形式の軽食とワインやらビールが並んでいます。私達が茶芸を披露させて頂く「海峡茶芸電視公開賽」は、10数人のモデルのような若い中国人女性が美しさだけでなく、茶芸やその他一芸を披露して、総合点で上海地区代表に選ばれ、選ばれた人は全国大会にも出場できるというもののようです。美人コンテストに一芸として茶芸が追加されたような感じでしょうか?そこでは既に10数人の中国人の若い女性達が控室で、茶芸の最終確認をしたり、プロのメイクさんにメイクをして貰っていたり、衣装の確認などをしながらかなり緊張感の漂う雰囲気。
一方、心也清チームは、私達3人と先生と小孫ちゃん、そして今回この私達の茶芸に頼もしいサポーターとして、先日茶芸師の資格試験が終わったばかりの5名の皆さんが一緒に参加してくれることになりました。そのうち3名が色違いのお揃いのチャイナドレスで審査員にお茶を運んでくれる役、2名がお茶を配ってくれる役を引き受けてくれて、それ以外にも沢山の細かい裏方までやってくれました。私達は美人コンテスト出場の皆さんに便乗して、プロの方にメイクまでして頂きました。ちょっと本格的。みんなでワイワイガヤガヤ、打ち合わせをしながら、控室でリハーサルをする私達。ちょっと緊張してきた…。
そしてコンテストの終盤、私達の出番です。国際交流の一環とでもいう感じでしょうか?外国人が中国茶茶芸を勉強しているんですよ、みたいな説明が入って、いよいよ入場。スポットライトがあたる中、結構な人数の観客と審査員の方々を前に、茶芸が始まりました。ちょっと緊張したけれど、心也清の仲間と先生に見守られ、楽しく茶芸ができました。3人で合わせるポイントが次々に合っていくと、だんだん気持ちも乗ってきます。大勢の皆さんの前で茶芸をする緊張感と楽しさが相まって、ちょっと病みつきになりそうです。サポート役の5人の皆さんのおかげで、審査員と一部のお客様に無事お茶リレー完了。後で伺ったお話では、心也清から持ってきた岩茶の一種である「大紅袍」は審査員の方に大好評だったそうです。
大成功に終わり、自分達なりに達成感を感じた私達は、ワインやデザートをちょっと頂きながら、美人コンテストを見学。みんなでセレブなひとときを楽しませて頂きました。
最後にテレビ局のインタビューを受けました。放送されるのかなあ。
今回もお茶を通して沢山の貴重な体験をさせて頂きました。茶席設計から、複数人で行う見せる茶芸、緊張感の中で茶芸を披露することなど、沢山の貴重な体験ができたことに、またまた感謝です!
寄稿by田中 奈穂子