4月14日から4月15日にかけて杭州で行われた『亜洲茶人論壇』に参加しました。この論壇は杭州市上城区の人民政府が主催し、中国・香港・韓国・日本・台湾の茶人がそれぞれの立場から茶葉経済、茶道、茶館の経営などを語り合い、また、お互いの茶道・茶芸を披露しあい、相互交流をすることを目的としたものだそうです。
4月14日(月)
17時過ぎに上海を出て、19時半頃に杭州につきました。
杭州の中心地にある、清河坊という宋代の歴史建築を模したストリートの一角にあるレストランでディナーをいただきました。
一緒に円卓を囲んだのは、中国茶芸の代表として参加されている太極茶道茶館の オーナーや韓国から来た韓瑞大学校の鄭仁悟(チョン・インオ)教授などです。
多分きっと偉い人達なのだろうなーと思いながらもぐもぐ。トンポーロー、美味しい。今日もご馳走で嬉しいなぁ、もぐもぐ。「明日の会場は鼓楼(南宋皇宮朝天門…昔は皇帝が宮殿に出入りする時、門のところで太鼓を鳴らして知らせていたので、鼓楼と言うらしいです)と言って普段は一般人が出入りできないところなんだよ、いやー、会場として使う許可を取るのが大変だったよー、でもすごいでしょ(意訳)」とか「太極茶道のお店には女人禁制部屋があるんだけど、んもぅ明日は特別に公開しちゃうっ(意訳)」と言われました。私は結構、特別とか限定って言葉に弱い人です。なので嬉しくなりました。えへへ。
食事後、会場の下見に行きました。会場への道すがら、清河坊の通りを散策したのですが、この街並みは歴史文化特色街区として国家4A級旅遊景区に認定されているそうで、世界で唯一の『歴史的建造物にあるマ○ドナルド』があるそうです。でも会場自体は、一夜間出入禁止らしく入場できず。結局、翌朝に下見をすることにしました。ホテルに着き、ちょっとお茶した後、大江先生は翌日着る着物の衿を付け、翌日の論壇のスピーチ内容を遅くまで書いてらっしゃいました。白鳥が優雅で美しいのは水面下で必死にもがいているからなんですね。
4月15日(火)
朝9時にホテルを出て鼓楼を下見。全体の流れを軽くリハーサルした後、太極茶道のお店に行きました。
大江先生、ちょっとそこの急須を持ってきて下さい。えぇ、それです。で、ちょっとそこのオジサンと同じポーズをしてみてください。はい、チーズ。大江先生の面白写真を撮った後、ウワサの女人禁制部屋(写真撮影厳禁) に潜入です。オーナーの父親の写真や、韓国茶道で使うお釜などが飾られている単なる普通の客間っぽい感じの部屋でした。ちょっとがっかり。もっとウサンクサ…じゃなくって特別な空間かと思っていました。
その後、大江先生と神成先生は太極茶道茶館のオーナーと共に打ち合わせに入り、私は太極茶道茶館の中にあるミュージアムを探索しました。世界一長い薬缶や民国時代のアンティークが飾ってあったり、室内なのに昔の商店街や厨房の様子を再現してあったりで、とても楽しかったです。
11時にホテルに戻り、他の国の方たちと打ち合わせをした後、ホテルのレストラン内で食事後、先生方は着物にお召し替えです。論壇は14時から始まりました。神成先生他、各国の精鋭5名が壇上にて討論です。神成先生は日本茶道の「和敬清寂(和=仲良くすること、敬=互いに尊敬しあうこと、清=穢れがなく清らかなこと、寂=何もないということ…寂という概念はとても難しくて神成先生ご自身もまだ理解しきれていないとのことでした)」という言葉や、先代の裏千家家元のお茶を通じての国際交流を紹介され、質疑応答では抹茶が無農薬で安全であることを説明なさいました。
その後、日本茶道の披露です。神成先生が亭主をつとめ、正客はFさん、次客に大江先生、中国語での解説は裏千家上海同好会専任教師胡先生が行いました。
その後、太極茶道が披露されました。唐の時代の茶道を再現したのでしょうか、お釜で茶を煮る方式の茶道でした。太極茶道と言えば長い薬缶を使うものだとばかり思っていましたが、そうでないものもあるんですね。
その後も白熱した討論が続き、討論会が終わったのは予定を大幅に延長した18時過ぎでした。
翌日は韓国や香港、台湾の茶芸や現地の大学生との交流などがあるとのことでしたが、参加した心也清メンバーは授業や用事があるため当日中に帰らねばなりません。夕食も大変なご馳走が出ましたが、途中で失礼してホテルに戻り、着替えを終えたらもう21時です。上海に戻ったのは結局0時を少し回った頃でした。「太極茶道の長い薬缶は各自の体格に合わせたオーダーメイドなんだって」とか「韓国の大学教授が『I love静岡』って言うからなんでだろうって思ったら去年静岡で行われた緑茶コンテストで審査員したんだって」という土産話をするには遅すぎる時間です。韓国や香港、台湾の茶芸も見たかったな、でもまた機会があるかな、あるといいなと思いつつ、大人しく眠りにつきました。
私は中国に来て中国茶の美味しさや奥深さを知りましたが、このような機会をいただいたことで、日本茶道の奥深さを垣間見ることが出来ました。海外の方に「一期一会」という言葉や「日本茶道の『拝見』やお道具の意味」に興味を持っていただいたことも、自分のことのように嬉しかったです。この度、心也清で「和のサロン」を開講すると伺い、早速申し込むことにいたしました。(追記:「和のサロン」当日は足が痺れるわ攣るわで大変見苦しい姿をさらしてしまいました。とほほ)。
寄稿by東塚