5月17日(火)に、上海心也清茶社にて煎茶道・一穂流の佐々木先生による特別講座が行われました。
煎茶、といえばもちろん日本のお茶です。
けれど恥ずかしながら、私、日本ではテキトーな茶葉をテキトーに急須に入れ、テキトーにお湯を注ぎ…でしたので。中国茶を勉強しているくせに日本のお茶は美味しく淹れられないとか、日本人としてマズイんじゃないかと(ようやく)気がついたところに今回の講座が開催されたのはまさに天啓。一の申し出、渡りに船。
一も二もなく参加希望を出しました。
当日、教室に入るとテーブル中央に美しい和菓子が、そしてその横には普段授業でも使っている茶盤に紫砂壷、ガラスの公道杯に杯子がセッティングされていました。
このお道具を使って、『玉露』と『煎茶』のお手前を教えていただきました。
講座を受講する前に煎茶道について少し調べていたときに思ったのですが、煎茶道で使用するお道具類は、中国茶で使用するお道具類ととてもよく似ているのです。
もともと煎茶の風習も中国から日本へ伝わったものなので、お道具が似ているのも当然のことなのかもしれませんが、「中国茶のお道具を使って日本のお茶を淹れる」というのが、なんだか私にとっては目から鱗…という感じでした。
講義は、まずは『玉露』と『煎茶』の違いから。
『玉露』は茶の新芽が出る前20日間ほど、新芽に直射日光が当たらないよう黒い網(幕)をかけて栽培されるのだそうです。(『煎茶』は日光に当てたまま栽培されます。)
そのため茶の旨味となるアミノ酸が増加し、逆に渋みの原因となるカテキン類(タンニン)が減少するのだそうです。(心也清の授業でも習いましたね♪)
『玉露』はその旨味・甘味を味わうため、50度程の低温で淹れます。また一煎毎に甘み、渋み、苦みと変わっていくため、「三味三絶」とも言われます。
『煎茶』はその香り、また甘みと渋みの調和のとれた茶の湯を味わうため、80度程のお湯で淹れます。
『玉露』も『煎茶』も(そしてもちろんお茶請けのお菓子も)、今回の講義のために日本から特別に良いものを持ってきていただいたということで、ドキドキしながら実際にお茶を淹れる練習に入ります。
私は『玉露』を淹れさせていただいたのですが、まず驚いたのはお湯の量。
6gの茶葉に対して使うお湯がなんと30~40cc程度。ものすごく少ないです。
ぎりぎり茶葉が湿る程度のお湯(しかも低温)を使って、玉露の旨みを最大限に引き出します。
そうして抽出された茶の湯は、一人分はほんの1~2滴なのですが…これを口に含むとその味の豊かさ、奥深さに本当に驚きます!
『煎茶』は、非常に香りが良く、また玉露に比べてさっぱりとした、けれど甘みと渋みのバランスの良いとても美味しいお茶でした。
講義の最後には、受講者のみなさまからの質疑応答があり、「良い茶葉の見分け方」や「(玉露・煎茶を淹れる)最適な茶具とは」なども教えていただき、とても面白い講座でした。
今回、受講者のみなさまはは心也清の生徒なので(私を含め)、当然「中国茶大好き!」な方々ばかりだったのですが、この講座で日本のお茶の美味しさも再確認されたのではないかな、と思います。
寄稿/さきはた