高級評茶員への道 第十三回

二日目(11月30日)の研修は、浙江華発茶業有限会社の工場見学でした。
浙江華発茶業有限会社は2002年から2007年の間ずっと茶葉の製造と輸出量が中国国内でNO.1というリーディングカンパニーだそうで、有機龍井は北京の呉裕泰に卸したり、香港に輸出していたりするそうですが、一番生産量が多いのは珠茶作りだそうです。


浙江華発茶業公司に到着

まずは達人ブレンダーによるブレンドの技術を見せていただきました。
3種類の同じ等級の茶葉を見せてくださいました。


ブレンド用の三種類の茶葉サンプル

産地や作り手、畑が違うと同じ等級の中でも味や見た目が変わってきますが、どのような味かは全て頭に入っていますというブレンダーさんを尊敬の眼差しで見つめます。参加者の皆さんも「こんなに滑らかな揺板は見たことがない」と嘆息していました。
大きめの天秤に分銅を載せ、3種類の茶葉の割合を決めてブレンドしたら、サンプルと出来上がった茶葉のグラム数を同じにして見比べ、「僕が作った茶葉の方が良いよね、サンプルの方が砕けた茶葉、多いでしょ」と棚から砕けた茶葉だけが入ったお茶の缶を出して来て秤に乗せ、加えたらサンプルと見た目がほぼ同じものが出来上がりました。


ブレンダーのブレンド技術を見学中

ブレンドは短い時は5分、長い時は2時間もかかるとのことでした。「風邪を引いたら仕事にならないから休むけれど、煙草は吸うし辛いものも食べるよ」と言っていたので、龔先生が「いけないのよ、煙草」と言ったら「(煙草を吸っている)俺の方が(煙草を吸わない)先生よりも上ってことかな」と軽口を叩いていらっしゃいました。ブレンダー歴20年余りの自信が言わせているのでしょうか。
あっ!目に星を浮かべている人発見!!ダメですよSさん、劉さん(※岩茶づくりの名人)から浮気ですかー(笑)。
「職人って素敵よねー」ですって。野球の選手とかでも、マウンドに立つとカッコイイ人っていますよね。帰りのバスでお話しをしたら、Sさんは職人気質の方に弱く、Yさんは音楽が出来るとカッコ良く見えてくるらしいです。私はダンスのリードが上手いとカッコ良く見えてくるのですが、スーツを着ていたり、眼鏡をしているとカッコイイ人もいますよね。

次は毛茶の精製の達人のもとへ。この道30年以上という達人、毛茶を見ただけで、どの等級の茶葉がどのくらい出来るのか、どのくらいロスが出来るのかが一目でわかり、それがわからない凡人が篩にかけてわけた後、この等級の茶葉は何元であの等級のは何元、と計算したとしても誤差は多くても5分(0.05元≒0.15円)だそうです。
眉茶や珠茶は売値が高いものではないので原料となる毛茶をあまり高くは買えないし、かといってあまり安くては農家の人が売ってくれないけれども、買うとしたらトン単位だから塵が積もって山となるので、誤差が大きいと大変だと仰っていました。
達人が毛茶を竹ざるの上で揺板すると、上に軽い茎や梗が出てきました。これは使えないもの。


茶葉等級わけデモを見学中

真ん中あたりの茶葉を4目(1平方インチあたりの目の数)の篩にかけたり6目の篩にかけて、1級から5級の眉茶の原料をあっという間に作り出しました。特筆すべきなのは、3級から5級にかけては、目の数は同じ篩で、篩をふる強さだけで、等級をわけていたことです。実技テストで眉茶が当たった時は、重さを測ろう、絶対に、と思いました。


龔先生も自ら説明

工場内、しんしんと冷えてきたなぁ…バスの運ちゃんが飲んでいる龍井、美味しそう…と思い、「買えるの?」と聞いたら有機龍井の極品が250gで120元。缶がなければ105元。そっかー。試飲させて。ぐびぐび。美味しい。包装の箱はいらないって言ったら安くなる?ならない?そっかー。1缶で売ってくれる?だめ?そっかー。今の時期に龍井かー。こんなにいらないけれど、買いたいという人もいるだろうし、とお買い上げしました。
その後、浙江華発茶業公司董事長のインさんという方のお話しを伺いました。


浙江華発茶業公司董事長インさんが会社紹介

ISO9000、ISO14001、HACCP、QS 、IMO有機産品などの国際・国内の認証に合格していること、一年に加工輸出している绿茶が2.6万トン、売り上げは3.61億元で加工している茶葉の量から言えば利益がとても少ないのだけれど、安いお茶を作らないと農家が困るので、誰かがやらなければいけない、国営企業ではなくても国のために必要であること、子会社は昨日お邪魔した『帝国茶』を含めて6つ、契約茶畑の面積は16.2万亩で契約農家は8万户、工場面積は中国の中でも最大規模で、加工能力、契約茶畑や農家の数では国内No.1のリーディングカンパニーだとおっしゃっていました。珠茶の主な輸出国であるモロッコでは王室御用達なんだよ、モロッコでうちの企業の名前を知らない人はいないんだよ、日本に売り込めたらいいのにな、とも仰っていました。ミントとお砂糖をどっさり入れて煮込んで作るミントティー、まだ飲んだことはないのですが、来年の夏あたりに試してみようかな、と思いました。また、これからお見せする機械は、規模では日本と比べ物になっても(※中国国内最大級の規模、日本と比べ物にならないくらいの大きさです)、衛生面や機械の精密度では日本とは比べ物にならないのだろう、と謙遜交じりに言いつつ「聞いた話によれば、静岡では工場の機械の半分は国が、4分の1は県が負担してくれるそうで、企業の負担は4分の1だそうです。それが事実だとしたら、ちょっと中国政府に働きかけてなんとかもうちょっとならないかなぁ、と思っています」と冗談めかしておっしゃっていました。
その事実と日本への売り込みのナイスアイディア、熱烈募集中らしいので、どなたか日本の茶業にお詳しい方、アイディアマンがいらっしゃいましたら、是非浙江華発茶業有限会社のインさんまでよろしくお願いいたします。
工場見学の前に昼食でした。席が浙江大学で龔先生の優秀な教え子だったという従業員の方の隣になりました。


工場食堂でのお昼

えーとえーと。中国語が不得意なりに異文化コミュニケーションをはかってみようかな。使っている野菜が有機だとか、鳥もここで飼育したものだと聞いたので「へんはおちー」→ご馳走をお皿に山盛り。なぜか一人で上海蟹を2つ、パンを3つも食べてしまいました。ずっとバスに乗ってとくに運動していないのに危険です、明らかにカロリーが高いです…ここはお茶を飲んで消化せねば、ぐびぐび。あ、美味しい。「へんはおふー。くーいーまいまー?」→お隣に座った従業員さんがインさんに相談後、参加者全員に茶葉プレゼント決定。異文化コミュニケーションって言うより、体で自己紹介(※我是くいしんぼう)をしたって感じですが、とりあえず感謝の気持ちを伝えなければ!「しぇいしぇい、らおばん」発音がいけなかったのか、老板というのが相応しくない言葉だったのかは不明ですが、先生を含めて中国国籍の皆様に笑われました、しくしく。お隣に座った方にお手数をおかけしました、という意味のつもりで「まーふぁんにー」と言ったら3回くらい「ああ?」と聞き返されましたし、この講座が終わったら中国語を勉強しようかな。インさんに「ヨーロッパの人っぽい顔しているね」と言われました。バタ臭い顔ですが純粋な日本人です、ついでに純情ですって中国語でなんと言えば良いのでしょうか。
ちなみに頂いた鉄観音は、お店で一番売れている物だそうです。焙煎の加減が軽すぎず、本当に好みな味だったこともあり、プレゼントしていただいた以外にも300g購入させていただきました。
インさんも浙江大学をご卒業なさった方だったから龔先生の引率で来た私達にとても親切にしてくださったのか、本当に良い方だったからなのか、にこやかに厚くもてなして下さいました。最初は日曜だから工場の機械は動いていない、というお話でしたが、インさんのご好意で工場内の機械の一部を動かしてくださいましたし。
ただ工場の機械を見学するだけでなく、実際に動かしていただいたお陰で、縦ゆれや風で飛ばすという工程をとても良く理解できました。


工場内出荷待ちのマリへの輸出茶

おお!茶葉がクルクル回っています。コレが「車色」かー。おお!縦ゆれで茶葉がジャンピングしている!コレが噂の「トウ(手偏に斗)篩」かー。工場内は写真撮影が禁止されていたのですが、工場を見学出来るチャンスなんて本当に貴重ですから、必死に目に焼き付けました。倉庫や車につまれた麻袋の量はインさんの「農家のためにも、作り続ける必要がある」という言葉に圧倒的な説得力を与えてくれました。
最後に全員で集合写真を撮り、個別にインさんと写真を撮りたかったなと思いつつ、握手をしていただきました。またおいで、と優しく笑ってくださいました。


董事長インさんからのお土産


董事長に別れを告げて帰途に

帰りのバスの中で楽しかったなぁ、でも、次が総合復習でその次の週がテストかー、テストはイヤだなぁ、と思っていたら大江先生が「あっ。チマキが美味しいパーキングエリアは通らないみたいです。皆、来週のテストの時に買おうね、さようならチマキ」とおっしゃいました。バスの中の皆で爆笑しつつ、テストがイヤだという気持ちがちょっと軽くなりましたが(※チマキ目当てで)、皆で集まってわいわい勉強したり、息抜きしたり息抜きの時間の方が勉強時間より多くて慌てたり、という苦しいながらも楽しい時間を過ごせるのも残りわずかなのだな、と少し寂しくなりました。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道 第十二回

11月29日から1泊2日で茶館や工場を見学する研修がありました。
朝の8時半に古北の万科広場を出発して、11時過ぎに浙江大学に着き、龔先生と顧先生と合流してから茶葉博物館の近くでお昼ご飯を食べました。
茶葉博物館の方がガイドをし、大江先生が通訳としてマイクを持って茶葉の説明や沸騰したときの様子、古い茶器(複製かと思いきや全てホンモノ。「ここにあるものを持って帰ったら、この博物館から出してもらえませんよ」と大江先生がおっしゃっていましたが、それで済むとは思えません。間違いなく逮捕→国外退去だと思います)、工場内の道具のミニチュア(ちゃんと動きます)の説明をしてくださいました。また呉覚農という、現代の茶聖(※陸羽の別称)と呼ばれていた方についての説明や、茶葉博物館はお茶の原産地と呼ばれている雲南地方に置くべきではないか、杭州で良いのかといった話し合いをした方達25人のサインなど、説明がなければ気づかなかったポイントまで教えていただきました。
サインの中にどこかで見た名前を発見しました。兪永明って中級茶芸師の初日にいらした気の良いおじいちゃん先生じゃないの!かーっ!!この前写真を一緒に撮っていただけなかったのが改めて悔やまれます。心也清の講師って本当に一流なのだな、本当に恵まれた環境で学ばせていただいているのだと改めて気づきました。
その後、茶葉博物館で売っている10大茶葉の詰め合わせ(※心也清の一流講師筆頭☆龔先生が監修)の試飲もさせていただきました。


茶葉博物館での試飲様子

班毎にわかれてまずは碧螺春。茶葉博物館にサンプルの茶葉を納めている会社に勤めていらっしゃる劉さんという方が大きな復古壷でお茶を淹れて下さいました。大江先生が「茶葉の詰め合わせ、プレゼントしてくださるって。早い者勝ちー。欲しい人は手を挙げて!」というので真っ先に手を上げて、ゲットしました。いえ、ゲットしようとしたら、龔先生と顧先生に「茶葉の名前あてて。10種類」とニコニコしながら言われました。


茶葉あてゲーム中

しまった!まんまとトラップに引っかかったよー!!えーとえーと…はっ!!3人寄れば文殊の知恵っていう言葉があるじゃないの。近くにいた「味のK林・香りのK田」とうちの班で呼ばれている2人に助けを求め、無事全問正解。麗しい友情ってヤツですね。席でゆったりお茶を飲んでいた同じ班の残りの人にも「私達の友情は不滅だわ。山分けしましょうね。いいのよいいのよ、今日助けてくれなかったことも武夷山で転んだときもシカトされたことも全く根に持っていないわ。本当に」とドスのきいた声で言ってみました。


土産をゲット

博物館のお土産物屋さんでお買い物。「この本、大江先生のオススメだって」という本を見たら、それってどう見ても私が貸した本です。「こらー。大江先生!返す気はあるんですかー」と詰め寄ったら「あ、今小孫が買っているから。返す返す」ですって。勿論、疑っていませんでしたよ、信じていましたとも、大江先生。

その後、西湖龍井産地第二保護区としての龍坞茶園を見学した。


龍坞茶園見学

龍坞茶園見学が終わってから嵊州賓館にチェックインをして、晩御飯を食べ、近くにあるという帝国茶苑まで歩いて行きました。


嵊州賓館での夕飯様子

最初、『皇帝の間』という大人数用カラオケルーム(※隣は麻雀部屋だったらしいです)に通されかけたのですが、個室でなくても良いから古き佳き茶館の雰囲気を残しているところにしていただきたい、と中国のアンティーク風の調度品のあるスペースで4~5人にわかれてお茶をしました。
飲んだのは勿論『嵊州龍井』です。香りは高いけれど、西湖龍井と比べるとどうしても滑らかさや甘さに欠けるよね、茶葉が少ないのかな、内質がちょっと…まぁ、リーズナブルで良いのかもしれないけれど、などと辛口な評茶をしながらバイキング形式のお菓子や果物をつまみながら先ほどいただいた10大名茶の山分けをしました。


嵊州帝国茶苑(茶館)で見学

疲れていたはずなのですが、お茶の飲みすぎか、楽しくて興奮していたからなのかはわかりませんが、ホテルに帰った後も同室のTさんと「あら?私は何をしているのかしら、もぐもぐ(※チョコレートを食べる)」「あら?何をしているのかしら、ぐびぐび(※持ってきた劉さんの肉桂を淹れる)」とか言いながら夜遅くまで楽しくおしゃべりをしてしまいました。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道 第十一回

今日は茶葉の保存と包装についての講義でした。
湯先生がまず、特に緑茶は変質しやすく、保存方法が悪いと3ヶ月持たないけれど、1年間持たせたいよね、というお話しをされました。
先日去年の龍井を発掘して「しまったぁぁあ…こ、今年の龍井と飲み比べをしてみようかな(遠い目)」「んー。菊花龍井にしようかな(涙目)」という経験をした私には、実にタイムリーかつ興味深いテーマです。
温度・湿度・酸素や茶葉の含水率など、環境条件が適正でなかったばかりに茶葉の成分が酸化したりカビが生えたりして、茶葉の鮮度が著しく落ちると、特に名優緑茶では新鮮な風味を失い飲むに値しなくなってしまうそうです。
ティーポリフェノールが酸化すると茶葉が黄色く枯れたようになり、茶の湯が褐色がかるとか、葉緑素は光にあたると分解と置き換えが進んでマグネシウムが失われる、というお話をされ、また、どのように保存してもお茶の新鮮な香りを保つ方法がまだないこと、また、アミノ酸が減ったり増えたりする理由がまだ解明されていないことなども学びました。
茶葉の包装については、茶葉を新鮮に保つだけでなく、産品の紹介や重量・生産期などのデータを掲載する必要があり、絶対に必要なデータと、あったほうが消費者にとって親切なデータがあるという話をされました。大きなお店ではきちんとそういった標準を満たしているけれど、農家直売や市場ではその基準を守っているかアヤシイ、というお話もされました。また、包装の種類のお話では紙の包装だと通気性が良いので湿気に弱く、木箱も見た目は良いけれど同様の問題がある、一番よいのはアルミパックの包装と金属の包装で、一番密閉性が高くて良いというお話をされました。プラスティックの包装は、プラスティックの香りがついてしまうし光を通してしまうのに加えて柔らかいので茶葉の形を崩してしまうので向かないとのことでした。
最後に名優緑茶の保存技術のお話しをされ、酸素を抜く方法として真空包装と脱酸素剤があるのだけれど、真空包装は茶葉の形を崩してしまうので、脱酸素剤が良い、湿気を取るためのシリカゲルも併せて入っていることが多い、というお話をなさっていました。ポテトチップスの酸化防止でよくある窒素充填方式もあるそうですが、嵩張るのであまり一般的ではないそうです。冷蔵庫での保管は、冷蔵庫から出すと一気に品質が劣化するため、ゆっくりと室温に戻す必要があるそうです。我が家にある最高級緑茶・碧螺春サマ(※サマ付けです。)は、冷凍庫の香りがつかないよう、密封+新聞紙で包みさらにジプロック、飲む時は前日から冷蔵庫に入れてから室温に戻していたのですが、碧螺春というのは茶葉を作る工程の問題で含水率が高めなこともあり、とても保存が難しいなぁと思い出しました。
午後は新茶と陳茶の飲み比べ。陳茶といっても、ちゃんと冷蔵庫に保管してあったものを一ヵ月半前から常温保存していたものとのことでした。
6種類の茶葉を新しいものと古いもの2つずつ、飲み比べたのですが、新茶の色の美しさと香りの高さ、陳茶の茶の湯は褐色がかるだけでなく濁るのだ、ということに気づきました。
先日、家で去年の龍井と今年の龍井を飲み比べた時にはわからなかったことが、今ならもう少し気づけるかもしれない、テストが終わったらじっくりともう一度飲み比べをするのも楽しいかもしれないと思いました。

高級評茶員への道 第十回

今日は名優茶について。
龔先生が「私が受け持つ最後の授業です」「趣味だというのに、ここまで良く頑張ってくださり、嬉しいです」「試験を受けた後も、経験を積んで、もっと上を目指してください」と激励の言葉をかけて下さいました。もっと上ですか…霞んでよく見えませんが、頑張ろうと思います(ココロノコエ)。
名優茶の味に関係があるのはまず作り手の技、次が品種、環境で栽培技術は生産量に関係があるけれど、味にはあまり関係がないというお話しをされました。
そう言えば、烏龍茶の授業で「本山もちゃんと作れば鉄観音に勝るとも劣らない味になるのだけれど、価格が安いので適当に作る農家が多い」というお話しがあったなぁ、と思い出しました。
名優茶というのは名茶であり、優質茶であるということで、時系列的にわけると伝統名優茶(※古くから伝わっているもの)、歴史名優茶(※歴史の中で一度生産が途絶えたものを復活させたり作り方を変更したもの)、新創名優茶(※1949年以降に新しく作り出したもの)があり、形でわけると巻曲型や扁平型、針型など7種類に分けられるというお話しをなさいました。お茶の種類で言えばつい最近までは5種類だったのだけれど、最近黒茶を入れて6種類となったのだそうです。
名優茶の評茶は、見た目の美しさで先入観をもってしまうので、お茶の内質を先に見てから見た目の美しさを見るのだそうです。味を見るのは香りを見るよりも難しいそうで、中国国内の評茶ではNo.1という評判の龔先生が難しいとおっしゃるのだから、かなり難しいのだろうなと思いました。
コンテスト時の評茶方法は3種類あり、1つは一人が評茶したものを校正するもの、もう1つは2組にわかれて別々に評茶する、最後の1つはひとりひとりが評茶して、各々が出した最低得点と最高得点を省いて平均点を出すというものだそうです。
また、5因子毎の点数をただ足すのではなく、因子毎の係数をかけて総合得点を出すのだそうですが、お茶の種類に寄って係数が変わるそうで、緑茶と紅茶は外形と茶殻の係数が比較的高く、烏龍茶は味や香りの係数が比較的高いそうです。
どうしてだろうと家に帰って考えて、緑茶と工夫紅茶では茶葉の若さが大切だからか、と気づきました。ふっ、所詮若さか…とやさぐれつつも、各因子の係数を覚えてみました。
お茶はその等級毎に甲(90―99点)乙(80―89点)丙(70―79点)にわけるのだそうです(※コンテストには70点以下のお茶は普通出ないので丙以下はないそうです)が、緑茶の場合、甲と乙は茶葉の若さの問題だそうですが、丙は複雑で、茶葉の若さが良くても作りが悪い、逆に作りが申し分なくても若さが足りないなど、いろいろな理由があるとのことでした。
午後はコンテスト形式で12種類のお茶を評茶しました。径山茶や碧螺春という有名なお茶ばかりでなく、聞いたこともないお茶が多く、家に帰って龔先生が執筆に携わった中国茶譜を読み返してみたのですが、そこに載っていない茶葉も多かったです。新創名優茶だったのでしょうか、貴重な体験だなぁ、でもどれもとても美味しいお茶ばかりで流石コンテスト茶だなぁ、と思いつつ、美味しく楽しく評茶させていただきました。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道・第九回

今日は烏龍茶について。
鉄観音や岩茶、広東烏龍…どれもこれも美味しくって香りが良くって。鉄観音の美味しさに中国茶に目覚め、広東烏龍の香りにうっとりして岩茶でどっぷりはまった私です。台湾烏龍茶は、大陸だと良いものが手に入りにくいと聞いていたのですが、興味はモチロンあります。
今日はとても興味深いお話が聞けそうだし、珍しいお茶が飲めそうで嬉しい、と思ったのですが、そのカンは当たっていました。
本山というお茶は生産性が高いので安価なのだけれど、上手に作れば鉄観音に負けない、むしろ鉄観音よりも良いものが出来るのだけれど、安いので作り手があまり良いものを作らないというお話や、福建省の農業科学院茶葉研究所が1978年から20年以上かけて有性栽培して作った金観音や黄観音のお話や、紫薔薇(※3つとも鉄観音と黄金桂の掛け合わせ)や黄薔薇(黄観音と黄金桂の掛け合わせ)、丹桂(大紅袍と黄金桂の掛け合わせ)といった新品種についてお話をしてくださいました。また、紫牡丹という鉄観音が自然交配したお茶についても話してくださいました。
雑交して作った新品種の様々なタイプの香りと味はブレンドをするのに使うのに便利だそうです。
岩茶で伝統的なものは晩生型のものらしいのですが、全て晩生型だと生産ラッシュになってしまい、良いものが作れないので、早生型の品種の栽培もするのだそうですが、早生型のお茶は強い焙煎に耐えられないのだそうです。毛蟹や梅占といった閩南が原産地のお茶が閩北にある武夷山で岩茶の製法で作られている理由がちょっとわかったような気がしました。
他にも「鳳凰水仙」のストーリーを聞いたり(※宋の時代の皇帝が喉の乾きに苦しみながら歩いていたときに鳥がお茶の種を落としても、生えてくるまで時間がかかっちゃうじゃないの、という無粋なツッコミはしちゃダメです。大紅袍に赤いマントかけた状元って誰?状元になった人の記録って残ってるよね、皇帝の娘婿ならかなり限定されるからわかるよね、ねねねと言っちゃいけないのと同じ理由で)、台湾烏龍茶の金萱や翠玉というお茶は「台湾茶の父」と呼ばれている呉さんの祖母と母の名前なのだというお話を伺ったり(※メキシコのマルガリータというカクテルはバーテンダーの死んだ恋人の名前らしいです。ラテンな男は恋人の名前を、儒教の国の男は祖母と母の名前をつける…と。メモメモ)、今日も中国茶についての見識が深まり、とても楽しく嬉しい授業でした。
午後の試飲では、岩茶が愛する王さん(※心也清いでは劉さん派が主流ですが、私は王さんも好きです)の今年のお茶で嬉しかったです。あっ!広東烏龍は私が好きな烏〔山東〕山のお茶じゃないの。烏〔山東〕黄枝香単叢、コレきっと絶対美味しいよー、うわーやっぱり美味しいなあ!サイコー!!…ハッ!!「飲む機械になれ」と福井先生にいつも言われているのに!ウッカリ楽しく美味しくいただいてしまいました。間違い間違い。チェックすべきは品種の特徴です。
先入観や無駄知識、雑念が入ると美味しく感じちゃったり不味く思ったりしがちになるから無心無心!私は飲む機械…好き嫌いではなく、その良し悪しだけを識別するプロフェッショナルな女…くんくん。ずぞぞーっ。さわさわ。
そういえば、中級茶芸師の講義の時に講師の先生が「好きなお茶があるとつい評茶の時にえこひいきしてしまうから色々なお茶を万遍なく飲むようにしている」とおっしゃっていました。
きっとこういうことだったのかもしれない、とちょっと反省しました。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道・第八回

今日の授業は「カテキン先生」と異名を取る王先生です。
茶カテキンの研究をして、あまりにも人体への良い影響に思わず会社を作ってサプリメントを作り、浙江大学の中だけでも年に1万本~2万本も売れまくるヒット商品を作り出した方らしいです。いつも午後はお茶のテイスティングなのですが、今日は一日中王先生の授業でした。

茶葉の化学成分についてのお話をされたのですが、ティーポリフェノールは18%~36%、アミノ酸は1%~4%、と中級で習ったことの復習をしつつ、「ところでカフェインは高濃度になると依存性が出てくるから許可なく作るの、法律違反なんだよ」「でも簡単に作れるんだー」と作り方を紹介してくださいました(どうやって作るかは受けた人だけのヒミツです)。先生…ひょっとして、お茶目さん?
茶葉の中には700種類以上の成分があって、うち300種類くらいが健康に関係があるとか、ティーポリフェノールは成熟度が高めの茶葉に多く含まれているとか、そういった真面目な話の中にラットやショウジョウバエを使った実験の話を織り込み「体重50kgの人間に500mgのティーポリフェノール(以下TP)を与えたら半数が死にます☆という実験は出来ないので、ネズミを使ったんだけど、その100分の1、つまり50kgの体重の人が毎日5g摂取するのであれば、まず間違いなく安全です。まー、TPを500g以上摂取するには、2.5kg~3kgの茶葉を食べないとダメだから難しいよね、ハハハー」ととても楽しくお話ししてくださったので、難しい内容の授業だったのですが、とても身近に感じることが出来ました。「本草拾遺という漢方薬の本に『お茶は万物の薬だ』と書いてあるんだけれど、僕、最近お茶好きが高じて漢方にも興味が出てきてね」とか「茶という字の草冠 を十十(で20)、下を八十八と読んで、20+88=108歳で茶寿☆だって米を88と読んで88は米寿でしょ?」と、本当に楽しかったです。
今日の授業を受け、TPには老化防止のほかにもシミを薄くしたり様々な美容効果があると知り、王先生が開発したサプリを思わず一瓶買ってしまいました。オマケにその瓶に先生のサインをいただきました(※ミーハーです)。

先生は話題も豊富で飽きさせず、「望むだけいくらでも講義してあげるよ」と本当に楽しそうに授業をしてくださいました。
ああ、中国語が堪能だったら頑張って勉強して浙江大学の茶学系に入りたい、王先生のゼミに入りたいと心から思いました。「十年早い」、じゃなくて「十年遅い」かもしれませんが(アラウンドサーティーな私です)。
茶葉について勉強するとき「粗老ではなく成熟した」「若い葉は内容が薄い」という言葉を聞くとほくそ笑…じゃなかった微笑んでしまうお年頃です(笑)。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道・第七回

今日は茉莉花茶の加工工芸の勉強でした。
ワタクシ、中級茶芸師の実技テストが茉莉花茶だったので、以来思い入れは人一倍☆だから結構詳しいのよねー、今日は楽勝♪と思っていました。


講義中に使われた「龍珠」というジャスミン茶。

でも「貧乏な人たちは、白蘭花で着香したお茶を飲んでいます。ジャスミンの花ばかりでなく、香りの上げ底をするために白蘭花を使っても、白蘭花の香りがするものは『透蘭』といって評茶では否定的な意味で使われていますが、最近はわざと白蘭花の香りが残ったものを作ることもあります。今はお金持ちになった人でも、昔から馴染み深い味が好きだから、ホンモノの茉莉花茶よりもそういった味の方が好きだからとよく売れています」という話は初耳でした。昨今の清香ブームで昔ながらの焙煎の鉄観音が少なくなっているということはよく聞いていましたが、茉莉花茶もそうなのか…でも私も有名なラーメン店のこだわりの味よりもサッ○ロ一番の塩味のラーメンが一番好きだしなー…。
あと、高級な花茶を作るときは花の香りをつけるのは時間が少なめで温度も短めだという話は知っていましたが、低級なお茶を作るときにその花を再利用しているという話は知りませんでした。
結構詳しいつもりでいても、やっぱりまだまだです、本当に中国茶は奥が深く、学んでいて楽しいです。


講義中に使われた「女児環(茶)」というジャスミン茶。

午後は、形が違う花茶の味比べをしたり、同じ会社の違う等級の茶葉の味比べと「見た目は悪いけれど味は美味しい謎の花茶…あなたならいくらの値段をつける?」というクイズのような試飲をしました。


講義中に使われた「蝦針」というジャスミン茶。

また、工芸茶というお湯の中で美しく花開く花茶をいくつか見せていただき、見た目で「どれが好きか」のアンケートを取られました。


「どれが好きか」–八種類の工芸茶。

どうも私の趣味はオーソドックスらしく、3、4人の同学と全く同じ3つを選んだので、同じのを選んだ方々に「うわー。夫を取らないでくださいねー(笑)」「うわー。旦那様を紹介してくださいよぅ(笑)」「うわー。一緒に合コンは行けませんねー(笑)」と軽口を叩いていたのですが、『生きた日本語を学びたい』と研究熱心な大江先生に「ゴウコ?ナニソレ?」と聞かれました。「えー。ゴウコではなく、ゴウコンです。合同コンパという言葉の略です(中略)」と、全く役に立たない日本語をお教えしておきました。
普段、奥深い中国茶の世界をご紹介いただき、尊敬してやまない大江先生に教えられることはあっても、私が教えることなんてないだろうと思っていたのですが…まさかそんな言葉を教えるとは…申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ちなみに寒かったので帽子を被っていたら同じ班のAさんが「あっ!!その帽子で思い出したけれど、武夷山で転んでいたよね?」とほぼ一年前の、出来れば思い出していただきたくなかった記憶を蘇らせていました。えー。出来れば忘れてください、そして二度と思い出さないでいただければ幸いです、大江先生&Aさん。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道・第六回

今日はプーアル茶及び白茶の加工工芸と品質の特性について習いました。
プーアル茶、昔は散茶だとちょっとしか運べないので湿らせてしんなりさせたものを竹の皮に包んでえっちらおっちら半年~1年くらいかけて寒暖の激しい山岳地帯を、風雨に晒されながら運んでいたので作った直後のものと風味が異なるようになり、作った直後よりも味がまろやかで美味しくなったのだけれど、交通が便利になると味の熟成が足りないので創意工夫を重ねて1973年に熟茶の製法があみだされた(※大量生産は1974年にスタート)とか、ホンモノのプーアル茶は醤油のような色ではなく、褐色がかった紅い湯色であるとか、老樹のお茶の葉は条のしまりがゆるいけれど味がまろやかで厚みがあるとか、作り方だけではなくいろいろと興味深いお話を沢山伺いました。
白茶については2大産地があること、炒めたり揉んだりせず、萎凋後に乾燥させるという手法(焙煎もしくは陰干)で作られること、六大茶類の中でも産量が少なく珍しいものであることなどを習いました。また、古い白茶は漢方として使われているとか、解毒効果や美容作用があることも習いました。


顧先生が私達に白、黒茶の加工と審評について指導中。

解毒効果はあまり興味がないのですが…美容効果ですかー。興味アリアリです。えー…確か心也清の白牡丹、結構古いと聞いた記憶が。
あっ。でも、確か以前心也清の上級コースを受けたときに「お茶にはダイエット効果があるけれど、中でも熟茶はTP(※ティーポリフェノール)以外にも微生物の善玉菌パワーでダイエットに最適と言われている」とか習った記憶が蘇ってきました。
んもー、午後のプーアル茶と白茶の試飲は、ぐびぐび飲んじゃうよー、と胸をときめかせつつ、ランチタイムに突入。

個人であれば手に入れることが難しいホンモノの美味しいお茶のサンプルを試飲できるというのは、本当に得がたい機会です。
しかも、実技テストに出ることがナイ茶葉なので、ゆったり味わうことが出来ます。
まず、プーアル茶…ぐおーっと力強い味が…コレが本当に美味しいプーアル茶の力強さってヤツかしら、強烈だなー…はっ!!私達、洗茶、し忘れてない??
他のお茶は洗わないのですが、黒茶のみ、評茶形式でも一煎目は素早く捨てないとダメだって習ったのに!!
しまった…に、2煎目の味の方が重要だって、せ、先生言っていたよね?と1煎目はちょっとだけ飲んで、湯色を見てから2煎目にGOです。
美味しいなー。酸っぱいかなぁ。書いてあるからわかるけれど、、、自分ではそこまでわからないかしら。難しいなー。


講義中に使われたプーアル茶サンプル。


プーアル茶の茶湯。

白茶はどうも味が好きになれない…うー。青っぽい味、苦手です。
同じ班の人は「こんなに甘くて爽やかで美味しいのにー」とぐびぐび飲んでいました。私の分まで美しくなってください…。


講義中に使われた白茶サンプル。


白茶の茶湯。

福井先生が、心也清で売っているプーアル茶のどれが一番高いか当てクイズに誘ってくださいました。うちの班のKさんが、授業中に台湾茶で同じことをしたののリベンジかもしれません。
こ、これかなぁ…と指差したのがビンゴでひと安心。
班章という地域で取れたものらしいです。
私は自分の舌をあまり信用しておらず、最近は安心のブランド(※プーアル茶で言えば大益)で、しかも絶対に美味しいだろうというものしか買わないのですが、最近、「少しはわかるようになってきたかもしれない」という手応えを感じはじめました。福井先生のように岩茶を飲んで「このお茶は山の標高が低いね」と言えちゃうようなレベルには程遠いのですが、この講座に参加する前の自分と比べて、随分と進歩できているように思います。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道:第五回目

午前中は大江先生ご担当で、お茶の科学と合理的な飲み方の理論の勉強でした。
オール日本語って素晴らしいなぁ。季節によって合うお茶があるのだそうです。春はジャスミン茶。夏は緑茶。秋は烏龍茶で冬は紅茶。科学的な話だけではなく、中医学的な見地から話をされ、納得したり疑問に思ったり。
四季や老若男女という、非常にイメージがわきやすいテーマだったので、すんなりと頭に入ってきました。ティーポリフェノールはビタミン類を体にキープする力がある、目の水晶体が濁ることで起きる白内障はビタミンの欠如から起きるのでそれを防ぐことが出来るとか、老化や癌の原因と言われるフリーラジカルと結びつきやすいので健康に良いとか。
杭州にある浙江大学茶学系がテキストを書いているので緑茶を強烈にプッシュしているのでは…福建省の人が書いたらきっと烏龍茶が、雲南の人が書いたらきっと黒茶がいかに優れているかという話になるのでは、とちょっと疑問に思ったりもしましたが、単にお茶は体に良いのだという話ばかりではなく、体質や体調的にお茶を飲まない方が良い場合についても話は及びました。
お茶はフリーラジカルばかりでなく、金属とも結びつきやすいので鉄分の吸収だけではなく、カルシウムの吸収なども妨げるそうです。
テアニンの収れん作用や、カフェインによる興奮効果が及ぼす悪影響についても学びました。
午後は、八因子で眉茶と諸ウ紅を対様審評。見本と比べて外形と内質がどうか見比べて、合否を判定するのです。
これは、言葉を書かないでよい分、結構楽でした…その後にやった広東烏龍の対対子(神経衰弱)と比べれば。老樹と蜜香、桃花、桂花の4つ、各々を飲めば違いはわかります。
ですが、神経衰弱にすると、まず手際が悪いので、お茶が冷めてしまい、お茶が冷めると、香りがわからなくなります。
残るのは、しぶーい広東烏龍たち。2つあっていて…2つ間違えていました。
50%かー。偶々運がよく、上手くいったのか、偶々運が悪く、失敗したのか。これは家で地味に地道に練習をするしかないでしょう(涙)。
そういうわけで、審評用のマグカップセットを2つ買い足し、広東烏龍も4種類買いました。
同じ班の人たちと「き…金曜日にまたやろうね。11時に心也清で僕と握手☆」と言って家に帰りました。お隣の班は9時半集合らしいです。
テストまで一ヶ月強。そろそろ心也清に日参する日々が始まります。

寄稿byとおこ

高級評茶員への道:第四回目

先週に引き続き、湯先生の担当でした。午前中は眉茶の加工方法とお茶のブレンドについて習いました。


湯先生が講義中。

眉茶は、原材料が荒めなので、精制する必要があるのだそうです。
特に輸出をする場合、サイズをそろえたり、同じ形にして品質を均一にしないといけないのだそうです。
「精制」はヒト手間を加える、良いことのように思えたので、どうして名優茶でやらないのだろうと一瞬考えたのですが、龍井や碧螺春はそのままでも十分に綺麗であり、また、精制の時間を取ることで新鮮であることがとりえの新茶の経済価値が下がったり芽の柔らかいお茶は砕けやすいと聞き、なるほどと思いました。
ちなみに日本茶は農協を経由する段階で全て精制するのだそうです。
精制の目的は大きくわけて3つ。外形を美しくすること・等級わけをすること・ごみや茎、、髪の毛など茶葉以外のものを取り除くことの3つだそうです。
人間のお化粧と同じで、見た目を美しくするけれど、味の変化はそう大きくはないそうですが、程度によっては湯色が悪くなるそうです。
また、後でブレンドすることを絵を描くことに例え、いろいろな絵の具を混ぜることで絵が描けるけれど、ゴチャゴチャの色が混ざった絵の具1種類で絵を描けないのと一緒だといわれ、確かにそうだなと思いました。
等級わけの方法を詳しく教えていただいた後、ブレンドについて勉強しました。面白いと思ったのは、1+1=2ではダメだということです。
悪い材料から良い味を作ることがブレンダーの腕の見せ所だそうで、良い材料を使って美味しくするのは誰にでも出来ますが、冴えない材料で美味しく出来たら大儲け出来る、そうです。
1+1が2よりも大きかったら、良いブレンダー。
1+1が2よりも小さかったら、ダメなブレンダー。
なるほどー。湯先生の授業はたとえ話もわかりやすかったなぁと思っていたら、最後に大江先生が「今日の内容はテストに出ません(キッパリ)」とおっしゃり、微妙な気持ちになりながらお昼休憩に突入。
午後は名優緑茶を専門用語で審評です。某グルメ漫画(美味○んぼ)のガンコ親父ばりに評茶の専門用語を使いこなそう、と「むむむ!これは…若い香りがする…だが残念なことに、ちょっと焦げ臭い…」「おぉ!この香りはどうだ…茶葉の特性が出 ているじゃないか…」とか「この爽やかでサッパリとした味…」「ツヤのある湯色…」「均一が高く若い葉だ…茶殻も美しい…」とか、8種類の緑茶でやってみました。
高級って本当に大変だなぁ、と自信を喪失してその日は帰途についたのですが、土曜日に、Yさんから電話がかかってきました。
お茶市場で8種類の緑茶を買って来たのでもし良ければ今から心也清で復習をしようというお誘いでした。
小周に「テストに出ないよー」と言われつつ、Yさんが買って来た茶葉と見比べました。
市場で購入できる茶葉には限界があり、先生が持ってきた極上のサンプルと比べると劣っていたり、その茶葉自体が売っていなかったりと大変だったとのことですが、評茶は、そのお茶の特徴を知っているという大前提の下で、その茶葉が標準的な茶葉と比べてどうかということを書かなくてはいけません。
その茶葉の特徴を水曜日の段階よりはかなりはっきりとつかめたという手応えがあり、Yさんには大感謝です。例えテストに出なくても、引き出しは多いに越したことはありません。
己に勝る良き友が多くいる、この環境で勉強することが出来るのは本当に有難いことだなぁとしみじみ思います。藍より青くなれることはなさそうですが、朱に交わって、ちょっとは赤くなれているでしょうか。高級はハイレベルだと実感する日々ですが、自分自身もレベルアップできるよう、頑張ります。



講義中のお茶飲み比べ風景。

寄稿byとおこ